タイベック®は、様々な特性を併せ持ち、多種多様なシーンで活躍する特殊不織布です。その特性を活かすことで、様々なメリットを提供しています。
*代表的な用途はこちら
*特性の活用例はこちら
独自のフラッシュスピニング製法
フラッシュスピニング製法とは、米国デュポン社独自の紡糸法です。
高温・高圧状態の高密度ポリエチレンポリマーを、瞬時に常温・常圧状態に移行させることで、他の紡糸方法では極めて製造が困難なウェブ(繊維群)を形成します。
このウェブは、量産可能な不織布としては最緻密レベルの繊維径4μmを平均とし、さらに微細な繊維/太めの剛繊維と、バラエティに富んだ構成となります。これらの繊維が、切れ目のない長繊維としてランダムに交差し、積層され、独特の構造を形成します。この独特の構造が、タイベック®のバリア性と透過性を両立させます。
繊維同士は、バインダーを用いず、熱と圧力だけで結合されています。
紡糸スピードと結合条件の組み合わせにより、紙のような風合いのハードタイプ、布のような風合いのソフトタイプをご提供しています。
ハードタイプ
ハードタイプは、繊維が接合され、強靭で、密度の高い、不透明なシートを形成しています。極細の繊維を重ねることによって、表面が滑らかになり、不透明度が高く極めて高い白色度を有します。更に、単位面積当たりの繊維同士の融着点が多いために、寸法安定性、ならびに表面摩擦抵抗性に優れています。
ソフトタイプ
ソフトタイプは、繊維同士の結合が(全面的に結合するのではなく)分離した点においてのみなされています。そのためにシートの中での繊維間の可動性を十分に保持しており、布状のドレープ性を持った製品になっています。ハードタイプと同様に、不透明度と白色度に優れています。ハードタイプと比較してソフトタイプは、引張り強度や表面平滑性では劣りますが、引裂き強度は優れています。
様々な加工が可能
目的により、以下をはじめとした加工が可能です。
タイベック®は生地の表面に独特の特徴があり、また伸びにくいので、断裁/縫製には多少の慣れが必要です。
融着には、別途、シーラントが必要です。
印刷方法/対応品番の一覧はこちら
環境への配慮
デュポンは数十年に亘り、サステナビリティ活動において最先端企業であり続けています。デュポンは、四半世紀以上も前からサステナビリティにおける達成目標を公けに掲げ、またCSO(Chief Sustainability Officer)を初めて設置した企業の一つです。
現在も、オペレーショナル・エクセレンスを推進し、生産性の向上/環境負荷低減に取り組み続けています。
2020年においては、"Bold Energy Plan(大胆なエネルギー計画)"によって、2016年に比べ、生産量あたりの温室効果ガス(GHG)排出量を40%削減しました。
タイベック®は、ISO14000取得工場にて製造されており、RoHS(Directive 2015/863/EU)やREACH SVHCなどに規定される使用制限物質 / 可塑剤などを含みません。
*現時点での適合状況、ならびに特定物質の含有有無等についてのお問い合わせは、ご購入窓口の販売店にご依頼・お問い合わせください。
強靭で様々な機能を備えつつ、かつ軽いタイベック®は、他の素材が使用された場合に比べ、トータルでのエネルギー消費/資源消費を抑えられる可能性を持ちます。
タイベック®は、リサイクルが可能な高密度ポリエチレン(HDPE)製です。また、やむを得ず焼却した場合でも、水と炭酸ガスに分解されます。
*廃棄/処分方法等は国及び各自治体の規則に従って下さい。
*海外での取り組み事例はこちら
タイベック®に関するサステナビリティ・リポートはこちらをご覧下さい。
その他の特性
1. 通気性/透湿性
独自のフラッシュスパン製法によりプラスチックフィルムやコート紙にはない通気性/透湿性を有しています。
2. 耐水性 / 対湿度特性
タイベック®の素材は吸水性が無く、水/湿度による 強度変化/寸法変化は確認されていません。
3. 耐水圧
タイベック®は、水の表面張力により、ある程度の耐水圧を有します。耐水圧は概ね8~17kPa程度で、品番により異なります。
詳しくは、こちらよりお問い合わせ下さい。
*印刷性を優先した品番(末尾にD、Rが付く製品)は、上記の限りではありません。
4. 撥水性
タイベック®は撥水性を有しております。
ただし、印刷等用にコロナ処理を施している品番は、その限りではありません。
5. 軽さ
タイベック®の嵩比重はハードタイプで0.4g/cm³程度であり、一般の紙に比較してはるかに軽い素材です。
6. 汚れ
水性の汚れはつきにくく、油、グリースの汚れは付着吸収します。
洗濯性については、別途、お問合せ下さい。
7. 紫外線の影響
タイベック®は紫外線の影響により、その被照射総量に応じて、徐々に劣化していきます。劣化軽減対策として、以下があります。
・耐UV処理品番を使用
・耐UV効果を有するコーティング/ラミネーションを施す
8. 使用温度域 / 燃焼性
マイナス73℃まで強靭性 / 柔軟性を保持します。125℃前後で収縮が顕著となり、135℃前後で融解し、343℃=発火点に達すると燃焼が始まります。シート温度が79℃以上になる場合には、こちらよりご相談下さい。また、火気からは遠ざけてご使用下さい。
9. 不透明性
タイベック®には優れた不透明性があります。原料自体は無色透明ですが、ポリエチレンの極細繊維とその繊維間の空気が光を乱反射することによって高い不透明性を誇ります。*一部の品番を除き、白色顔料等は含んでおりません。
尚、繊維に熱や圧力を加えることで、タイベック®を透明化することが可能です。ただし、その部分の物性は変化します。
10. 白色度
タイベック®は印刷用基材の中では白色度の高いシートの一つです。JIS-P8123に規定されたハンター白色度計で測定した値は90~98%程度となります。
11. 光反射性
タイベック®は、紫外線から可視光線域の光を、概ね90%反射します。また、拡散反射特性(ご参照動画)を有します。
12. 低リント性
タイベック®は連続長繊維で構成されており、一般的な使用条件下においては、リント(繊維クズ、紙粉)を発生することは殆どありません。
13. 帯電性
タイベック®はポリエチレン製の為、強い静電気が発生します。
タイベック®を防爆エリア等で使用することは避けて下さい。
尚、タイベック®には帯電防止剤を塗布し、静電気の発生を低減させた品番もございます。但し、この帯電防止剤は水溶性のため、洗濯/水濡れ等により、効果を期待できなくなります。
14. 耐薬品性
タイベック®はほとんどの酸、アルカリ、塩に対して不活性です。しかし濃硝酸や過硫酸ナトリウムのような酸化性の強い物質に長時間さらすと強度低下を引き起こします。
15. 耐溶剤性
タイベック®は、水溶性溶剤や極性の高い溶剤による影響は殆どありません。しかし、多くのインキ、ペンキ、接着剤、コーティング剤に使われているある種の炭化水素系溶剤はタイベック®を膨潤させることがあります。
16. 防塵性
粉塵に対するバリア性が高く、アスベスト除去作業用作業着としても使用されています。
17. 耐折曲げ性
タイベック®は折り曲げに対して強く、MIT折曲げ試験(TAPPI T-423)の結果は20,000回以上となっています。
18. 熱伝導率
タイベック®の熱伝導率は、一般的な服地の熱伝導率とほぼ同じ程度であり、0.045w/mk~0.053w/mk程度です。
19. ご留意点
不織布ゆえ、製法上、厚み等にある程度のバラツキが生じます。