みかん産地レポート:JAふくおか八女
『ほにょらんなもうかる』
最前線の農家さんに、より現場に近い話をお聞きしました。
『ほにょらんなもうかる』
Q:「ほにょらんなもうかる」って、どういう意味でしょう?
「骨を折らずに、儲かる」と言う意味です。産業として継続する為には利益を出す事が必要ですが、出来るだけ「ラク」することも大切と思っています。労働力は限られてますから、年間管理の中で最も重要な作業を見つけて、集中して手間を掛ける。そうすることで総体的な手間を削減出来ます。まぁ、いかに「ラク」して毎年85点を取るかですね。今年(令和6年産)は全国的、特に九州は不作でしたが、ウチは品質も量も、まあ良かったですよ!!
総体手間を削減する為に
Q:どこに手間を掛ければ、総体的な手間が削減できるのでしょう?
隔年結果って御存知ですか? 豊作→不作→豊作→不作を年ごとに繰り返すみかんの生理現象です。このサイクルが大きくなると、品質と収穫量は、年ごとに120点→30点→120点→30点と安定しません。例えるなら、マラソンで「全力疾走 → 疲れて休む」を繰り返すようなものです。この隔年結果をなだらかにする事がポイントです。
Q:そんなこと、出来るのですか?
簡単に出来ます。豊作の年に、なり過ぎた果実を落としてならせ過ぎないようにするのです。
先ずは毎年秋の収穫前に「来年、この樹は実が沢山着くかなぁ? それとも、少ないかなぁ?」の確認予測/判断をします。次に、翌年春の開花前に「今年はどうだろう?この樹の花の量だと、実の量は?」を確認予測/判断します(花が多ければ、実は多く着く。少なければ、実も少ない)。これらの確認予測/判断に基づき、6月までになり過ぎが予測される樹には、果実を減らす為の作業を効率的に行う様にしています。
先ずは毎年秋の収穫前に「来年、この樹は実が沢山着くかなぁ? それとも、少ないかなぁ?」の確認予測/判断をします。次に、翌年春の開花前に「今年はどうだろう?この樹の花の量だと、実の量は?」を確認予測/判断します(花が多ければ、実は多く着く。少なければ、実も少ない)。これらの確認予測/判断に基づき、6月までになり過ぎが予測される樹には、果実を減らす為の作業を効率的に行う様にしています。
Q:なんか、勿体ない気がしますが…。樹に付いた実を全て収穫している訳ではないのですね。
はい、そうです。全ての果実を秋まで育ててたら、次の年は実が着きません!! 実が少ない樹(年)は頑張って手入れしても、せいぜい40点にしかなりません。実が多い樹(年)に、「いかに腹八分にコントロールするか?」が、毎年の品質と量を確保するポイントです。具体的な作業について、別紙にまとめました。ご参考まで。
Q:別紙、拝見しました。段階ごとの状況把握にポイントがありそうですね。これは結構、新しい考え方なのでしょうか?
状況把握 → 判断 → 行動
そうかも知れません。平成の後半ごろ、 慶応義塾大学SFC研究所/NECソリューションイノベータさんと連携して篤農家(いわゆる名人)の技術を継承する為の研究をしました。いろいろな発見がありましたが、篤農家と呼ばれる方は「状況把握 → 判断 → 行動」のサイクルを回していました。もっとも、篤農家ご本人にとっては当たり前のことで、他人には説明しにくい様です。
Q:「名人が教え上手とは限らない」って、ヤツですね
そうかも知れません。そこで、みかんのなりかたについて「状況把握 → 判断 → 行動」のデータを毎年集めました。このデータに基づき、樹毎にポイントを絞ってなり過ぎを調整してきた結果、年間の手間が減り、果実品質と収穫量も安定してきました。
Q:あとでご紹介頂く収穫結果データ、御覧になった農家様、皆、驚きますものね。ところで、データで基準が示されてはいても、状況把握には経験と選別眼が必要な気がするのですが?
そうですね、みかんは1年に1回しかなりませんので学ぶチャンスも限られます。まぁ、素人さんでも良い指導者につけば3年程で分かる様になります。ちなみに、JAふくおか八女の指導員さんは優秀ですよ。私は指導員さんが講習している事をやっているだけです。さておき、「状況把握・判断」は人が見る以上、バラつきは出るし時間もかかります。だから将来的には、AIやドローンを活用したいと思います。それで、もっと「ラク」が出来れば、みかん産業はもっと楽しく、もっと良くなると思います。
Q:確かに、それが出来れば、更に「ほにょらんなもうかる」となるでしょうし、消費者からすると「価格と品質」が、より「うれしいバランス」になりますね。
高耐候バージョンの感想/評価
Q:椿原さんには、平成30年からタイベック®の新製品・高耐候バージョンを試験検証して頂いてます。所感を頂けますか?
今年(令和6年)で7年目になりますが、まだまだ使えますね。メーカーさんは、リピート・オーダーが来ないので嫌でしょうけど(笑)
作業する時にシートの上に乗りますが、そんな時でもしっかりしてるし、今年(7年目)初めて1ケ所破れました。12月~6月はみかんの木の根元に丸めて屋外保管していますが、とにかく雑に扱えるので「ラク」ですね。
作業する時にシートの上に乗りますが、そんな時でもしっかりしてるし、今年(7年目)初めて1ケ所破れました。12月~6月はみかんの木の根元に丸めて屋外保管していますが、とにかく雑に扱えるので「ラク」ですね。
Q:いや、やっぱり丁寧に扱って貰った方が、より長持ちはすると思うのですが…。
反射はいかがでしょうか? 『長く使った分、汚れて反射が落ちる』という心配もあるかと。
反射はいかがでしょうか? 『長く使った分、汚れて反射が落ちる』という心配もあるかと。
今年(7年目)の夏も、土壌が乾燥し過ぎたので、適度な雨を入れる為にシートの開閉作業をしました。そこそこ汚れてれてますが、まだまだ まぶしかったですね。
また、タイベック®ならではの乱反射は太陽がどこにあっても、光が来るんですよね。全体の様子は、ドローン映像、観てみて下さい。
あと濡れている時も従来品と比べて滑らんですね。
また、タイベック®ならではの乱反射は太陽がどこにあっても、光が来るんですよね。全体の様子は、ドローン映像、観てみて下さい。
あと濡れている時も従来品と比べて滑らんですね。
Q:他の視察者の方々も、仰ってましたね。私は鈍いからか、あまり違いが判りませんでしたが…。
エンボスが深めなので、分かる方には分かるのかもしれません
エンボスが深めなので、分かる方には分かるのかもしれません
注意点としては、従来品に比べ乾くのに1.5倍程の時間がかかるので被覆時期や土壌の湿り具合に注意します。その辺も含め、従来品(3年間) vs 高耐候バージョン(7年間)の比較データをまとめてありますので、ご参照下さい。
Q:ありがとうございます。総評として、いかがでしょうか?
やっぱり、長持ちする分、敷き替えの手間が削減できるのが最大のメリットでしょうね。3-4年ごとに敷き替えるのが大変です。その回数が削減できるとかなり「ラク」になります。
広いみかん畑の農家さんは毎年、結構な面積を敷き替えておられますので、それが減ればかなり「ラク」になると思います。
広いみかん畑の農家さんは毎年、結構な面積を敷き替えておられますので、それが減ればかなり「ラク」になると思います。
Q:重さについては、いかがでしょう?従来品の約2倍ですが…
従来品に慣れてると、少々重いですね。
Q:結論として、骨折り削減に貢献できてますでしょうか?
うん、よか! 興味のある方は、八女まで見に来られてもよかですよ!
文中および関連資料の数値は実測値または参考値であり、保証値ではありません。また、効果等に関する表現は個人の感想です。
早味かんは 福岡県、華たちばな はJAふくおか八女の商標です。
タイベック®は、米国デュポン社の関連会社の商標又は登録商標です。


